営業再開に向けて、さまざまな準備を進めていることと思います。宿泊団体及び厚生労働省・観光庁・専門家において「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」が作成されました。これに基づく手順つくりに加えて、チェックイン時の“検温”を考えているみなさんもいることでしょう。
質問
この“検温”について、ある事業者さんから質問を受けました。
お客様の体温を測るのはできたとしても、もし高熱だった場合どう対応して良いかわからない
みなさんは、どのように対処されますか?
お客様はそのまま滞在をお受けするのか、お引き取り願うのか悩むところです。
回答
旅行業法では
旅館業法では、ある環境下あるいは状況にあるお客様の宿泊をお断りできるという規定があります。
第5条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
実務的な運用としては、コロナ禍の環境下では高熱であれば第五条1項にあたる蓋然性が高いということで宿泊を拒否しても問題ないと考えます。なお、ガイドラインに
“宿泊客の感染疑いの際の対応”の中で、
・保健所の「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、感染の疑いのある宿泊客の状況や症状を伝え、その後は保健所からの指示に従う
とあります。現時点では、まず保健所に状況を説明し、判断を仰ぐ形で宿泊をご辞退いただくことになると考えます。
なお直近においては、保健所に電話がつながらないことが多いようですので、保健所の指示を仰ぐまでは宿泊の許可もしくは拒否をできない状態が続く可能性があります。こうした方を一時的に滞在させておく部屋を確保しておく(できるだけ動線が他の客と交わらず、EVも使わない場所が望ましい)ことが必要かもしれません。
事前対策
事前対策として、旅館のウェブサイトや予約時の案内メール等に、
宿泊者が新型コロナウイルス感染症の感染の疑いがある症状を示す場合は、宿泊契約を解除させていただく場合があります。必要に応じて、チェックイン時に体温測定をお願いする場合があります
等を記載しておくのがよいでしょう。
滞在中の体調不良(発症)
滞在中に体調不良(発症)となったお客様に対しては、先に引用したガイドラインで以下の方針が示されていますので、これに従って対応していただければよいと思います。
宿泊客の感染疑いの際の対応
・万一、発熱や呼吸困難、けん怠感など、感染の疑われる宿泊客がいる場合、客室内で待機し、マスク着用をお願いし、外に出ないようにお願いする(同行者も同様)
・事前に他の宿泊客と区分して待機する部屋等を決めておく
・食事も客室にお届けし他の宿泊客との接触を避ける。その宿泊客と対応するスタッフも限定する。対応時にはマスクを着用する
・保健所の「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、感染の疑いのある宿泊客の状況や症状を伝え、その後は保健所からの指示に従う
・当日の宿泊者名簿を確認し、保健所への提出に備える
・館内の他の宿泊客への情報提供は、保健所の指示に従う
なお、症状が出たお客様の使用している客室についてはハウスキーピングを中止する旨、事前の周知しておいた方が良いと思います。
観光経済活性化コンソーシアム(TEVIC)
有志共著