事業者の皆さま、突然の何の前触れもないコロナにより未曽有の厳しい事業環境となり、大変なご苦労をされていることと存じます。そのよう中でいくばくかでもご参考になる点があれば幸いです。財務・金融面を担当する高橋です。
業績が厳しくなる場合の優先的に取り組むべきこととして、当面の資金繰りの把握と対応があります。
一般的には業況悪化への対応の順番としては、
1. まず資金繰りを落ち着かせ(支出削減、延期、借入など)、
2. 次にしっかりとした事業の建て直し、戦略見直しを検討する期間をつくり、
3. 時間をかけて新たな事業戦略を実行していき、収益力の改善を図る。
この通常時の対応は、観光市場自体は健全に継続しているなか、個社の事業戦略等の競争力低下を主因として業績が悪化しており、また時間をかけて事業劣化する中で売上減少・コスト増大等の要因が自社で認識していることも多く、対応としてはその認識を踏まえた事業戦略の変更・経営改善等による企業力の強化となります。
ところが、今般のコロナ禍は、「急に、事業面での前触れなく」「市場の一時的な消滅による大規模な売り上げの減少」「いつ頃市場がもどるか予測がつかない」等の外的要因が、一般的な経営改善と対処方法が異なると考えます。
- 業況回復のメインシナリオは、コロナの感染の影響の低下による観光市場の回復であり、時間の関数で必ず一定のレベルには戻るはずです。
- よって対応としては、「資金繰りをとにかく維持し続け、市場回復のタイミングまでもたせる」ことが最優先。筆舌にしがたい厳しさでありますが、とにかく耐え、時間をかせぐ、そして他力本願的でありますが、必ず来る、コロナの影響の低下、観光需要の復活を待つ。原価、人件費、賃借料などの支出面の抑制、支払い猶予、政府のコロナ対応の措置策の活用(休業補償、保証協会やコロナ対応融資、税制など)、場合によっては思い切った一部休館などを含めて。資金見通しをつけていくなかで、アフターコロナを見据えた事業の本格再開の戦略を考える、ことになると思います。
- 資金繰りの把握や対応については、
(ア)
支出の削減や借入対応などをするが、その間にも刻々と時間が過ぎていくので、資金がまわるよう、また、思わる請求や入金の先延ばしヤキャンセルもあるので、できるだけ適度な余裕をもった資金繰りをつけたいところです。
(イ)
売上の見通しや資金繰りの見通しをたてづらい状況下ではありますが、
①
終息宣言がいつ頃出て、自粛モードがおさまり観光需要がいつ頃回復するか、いくつかのシナリオを考える。宿泊や宴会のャンセルや延期、新たな予約はいつ頃から入り始めるかなど、また同業他社の状況などを勘案して。楽観ケース、標準ケース、厳しめのケース。
②
コロナの影響がなくなり正常化した場合の収益も予想し、そこからどの程度のダウンを見込むか、という観点も有用だと思います。
③
できるだけ、こまめな資金繰表を(週繰りで最低6ケ月、できれば当初3ケ月は日繰り)、こまめな見直しを(状況は日々変わりうるので、毎週、できれば毎日)、作成・更新していき、自分の肌感覚と数字の感触をすりあわせていけるとよいと思います。
言うのはやさしく行うのは難きの状況でありますが、皆で知恵、情報などを出し合い乗り越えていきましょう。